今日のごはん日記

料理の記録や気ままな日記を書いてます😄

風の電話

先日テレビのドキュメントで初めて知った「風の電話」。大槌町ガーデンデザイナーをしている佐々木さんという方が、庭に電話ボックスを設置しました。風がビュービュー吹きつける小高い丘の上、ベルのついたアーチをくぐって小径を進むと、そこには素敵な電話ボックスがあります。中には線の繋がっていない黒電話が一台。地震で家族を失った人達が訪れて、受話器に耳をあて、亡くなった人と二人だけで話すのです。繋がっていないから、もちろん何も聞こえない。だけど、本当に電話の向こうにいるみたいに思えてきます。佐々木さんが最初にこの電話を設置したのは地震の前で、いとこを病気で亡くした悲しみを癒すために作ったのだそうです。そのあと地震があり、現在ではたくさんの人が訪れるのだとか……

話している内容はとても悲しくて、見ているのが辛いほどでした。「おとうさん、いまどこにいるの。子供たち大きくなったよ。絶対見つけてあげるからね」とか「津波で住まいを失って新しい家を建てたけど、みんながいないから意味がないよ……何のために生きてるかわからなくなるんだよ」と悲しい言葉ばかりです……

ある日突然に別れてしまい、さようならも言えなかったから、5年経っても時が止まったままなのだろうな…と思いました。たぶん、墓前や仏壇の前で話すのとは全然違うのでしょう。電話ボックスの中に入ると、この世と遮断された感じになるからでしょうか。

耳を済ませて一生懸命に声を聞こうとします。思えば、携帯がまだなかった頃は家の電話で友達と長電話をしていたものです。色々悩み事を聞いたり、就職どうする?などと話したり。そのときも、こんなふうに集中してじっと耳を傾けていたように思います。そんな時は、この友達がすぐ近くにいるように感じられました。気軽な携帯とは少し違う感じ?だからなんとなくわかるような気がします。

携帯があるといつでも話せるからか、真剣にじっくり語り合うことも少なくなってしまったような?だけど、自分の気持ちを飾らずに伝えたり、考えが違う人の話もちゃんと聞かないといけないな……とあらためて思いました。(⬅こういうこと、すぐ忘れちゃうんですが……(゜゜;)。)

悲しみは消えないと思うけど、この電話で本当の気持ちを話して、少しだけ表情が穏やかになった方もいました。こんな電話を思いついた佐々木さんってすごいなぁ……とつくづく感じました。