今日のごはん日記

料理の記録や気ままな日記を書いてます😄

ドラマ【蔵】

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雪深い新潟を舞台に、造り酒屋のひとり娘「烈」の半生を描いた物語。宮尾登美子原作(この人の作品読んだことない…すみません…)

お金持ちの旧家・田之内家は、たくさんの人を雇って酒を作っている。シーズンになると、住み込みの蔵人が大勢やって来る。そして皆で、民謡のような歌を歌いながら、酒造りに励む。一度、「腐造」(雑菌が入り酒が腐る)を起こして全員解雇にもなった。これを2年続けると蔵元はつぶれるという…。このように当時の酒造りの様子が詳しく描かれていてとても興味深い。立派な屋敷や酒蔵も、セットではなく本物を使っているようで、ドラマ全体にかける意気込みが感じられる。それと、この地方の方言がうまく台詞に活かされていて、その土地特有の空気やローカルな感じが良く出ていた。言葉は、そこに生きる人々の生活や文化と一体になっているので、方言をどう扱うかというのは作品の出来にもかなり影響すると思う。新潟の「○○だすけ」とかいう言い回しはあまり聞いたことがなかったけれど、関西や九州のような開放的な響きではない、こうした言葉使いは、雪国の風景にマッチしていていっそうリアリティーを感じさせてくれた。

田之内家は、これでもかというくらいに不幸に見舞われる。元々は、この家の嫁を決めるときに、ろうそく屋の姉妹(賀穂と佐穂)を間違えてしまったことが発端だった。間違えたのは田之内家の姑だったのだが、この小さな勘違いから発生した齟齬が、後にどんどんと大きくなり、数々の悲劇を招くことになった。すべてが済んでから言うのも酷だけど、いちばん悪いのは嫁の器量(美人かどうか)にこだわった姑だと思う。このような小さなボタンの掛け違い、きっかけから、大きく異なる結果を招くことって、日常にもあるかもしれない。あの時、賀穂ではなく佐穂と結婚していたら・・後の祭りだけど・・

そして、やっと生まれたひとり娘の烈は、盲目のハンデを負いながら懸命に生きていく。大正から昭和初期という、ただでさえ女性が生きにくい、我慢を強いられていた時代。でも、それまで女性が関わることのできなかった酒造りも引き継いで家を盛り立てていく。何事にも負けずに生きていってほしいと付けた「烈」という名。その時は、こんなに波乱万丈な困難に襲われる人生を想定はしていなかったのだろうけれど・・。変わった名前の多い現代でも聞いたことがないすごい名前だけど、この字の意味するように言い出したら聞かない激しさを持つ女性であった・・彼女の魂に息づくこの名前が、「烈」(激しさ、情熱)という名前の力が、没落しかけていた田之内家を救ったのかもしれない。もし、姉ではなく妹と結婚していたら烈は生まれなかったのだから、これも運命なのだろうか・・

彼女は、超エリート男性との縁談を蹴って、蔵人の涼太と結婚する。一途過ぎて恐いくらいの烈だったけど、めでたく愛する人と結婚できて良かった。賀穂亡きあと、烈の母親代わりに家に仕えて独身を通してきた佐穂も、最後には、長年秘めてきた気持ちが実る。あまりにも遠い回り道をしてしまったけれど・・ドラマ見ている間ずっと、佐穂を苦しめてばかりの意造(この家の主)が身勝手過ぎて腹立たしかった😤

しかし、家を守るために個人の幸福を諦めなければならなかった時代は、どれほど多くの人達の悲しみがあったのだろう・・。それでもしたたかに生きる強さは尊いものだ。結末がどうなろうとも。

 

俳優陣も豪華なので、とても良いドラマでした。よろしければ皆さまもご覧になってみてください(^_^)

それと下らない話しですが、田之内家の主人・意造を演じた鹿賀丈史さんは、撮影当時の風貌から察すると「古畑任三郎」に出てて「酢豚弁当」を食べていたお医者さんを演じていた頃かもしれません。この人を見たとき、あっ、酢豚弁当の🐷❗と嬉しくなった。過去には金田一耕介もやっていて存在感のある俳優さんです。映画版では、「意造=松方弘樹」という配役だそうですが、遊び人の金さんみたいだと思うのでキャストはドラマ版が正解かもしれません(^-^ゞ