今日のごはん日記

料理の記録や気ままな日記を書いてます😄

寺内貫太郎一家(小説)

貫太郎一家の小説版を読みました(^o^)。とてもおもしろかった。アマゾンの書評を読むと「人情味あふれるドラマ」とか「心が暖かくなるストーリー」などと書いてありました。でもそれだけではなくて、物語はけっこう暗いんです。

一家では、皆さん悩みを抱えている設定です。長男は予備校通いで進路が決まらず、貫太郎といつもケンカ。茶の間で大暴れするケンカシーンは、ドラマでは笑える所です。毎回、お母さんたちが食卓を移動させて避難したり。でも、これが自分の家庭だったらイヤだな…ってみんな思うに違いない(^_^;)。かなり深刻な対立の時もあるし、現代なら事件に発展することもあるかも?と心配になった。こんなとき、貫太郎は妻も容赦なくふっ飛ばすから、現代では立派な「DV」になってしまう‼何度縁側の下に落とされたことか。

そして長女は幼い頃怪我をして足がわるいのです。この事で秘かに自分を責める、父の胸のうちが度々描かれるのが切ないです。彼女の恋人は離婚歴のある男性ですが、貫太郎に認めてもらえず家出(‼)。最後には結婚式を挙げるけど。それからおばあちゃんにも辛い過去があったり。みんなイロイロあるなぁ…。

暗めのホームドラマを書いていた、山田太一さんの作品にちょっと似ているかな?「不揃いの林檎」みたいな、悩み多き人たちが描かれています。

いいな、と思うのは、頑固おやじの貫太郎や、意地悪なばあちゃんのなかにも、思いやりがあるところ。誰しも欠点や弱さがあるから、立派な人にはなれないけど…。向田邦子さんは、この弱さを人間らしいと思って愛することができる人なんだな、と思う。包み込むような優しさがあるのでしょう。生涯独身だったそうだけど、子供をもつ父や母の気持ちとか、親を亡くした子供の気持ちとか…本当なら経験しないとわからないような心情を、心にしみる言葉で描いています。そんな彼女は、いろんなものを見てきた苦労人なのかもしれません。。

小説は、文庫版だと未完になっているので、そこから先の脚本を追加した「完本 寺内貫太郎一家」がオススメです(^o^)。長女のお嫁入りまでが書かれてます。