今日のごはん日記

料理の記録や気ままな日記を書いてます😄

ドラマ「太陽の子」

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今年8月にNHKで放送したドラマ「太陽の子」を先日見ることができました。いま話題の「日本学術会議」がどのようにして設立されたかがよくわかるドラマです。

戦時中、海軍より「新型爆弾(原子爆弾)」の開発を命じられた京都大学の研究室が舞台で、物理学専攻の若者たちが、その研究に明け暮れる・・

何も考えず研究に没頭する主人公ですが、やがて原爆を落とされた広島を目の当たりにして愕然とします。「自分たちが作ろうとしていたものの正体がこれなのか」・・ついこの間、兄弟や幼なじみと手を取り合って「未来の話をしよう!」と希望を確かめあったばかり。でも、すべてを破壊する自分の研究はそれを許さないものなのだ・・そして弟が特攻で亡くなった知らせも入り、自らも悲しみを味わうことになります。最後、原爆ドームの中から空を見上げる場面で終わるのですが、主人公はこのあとどう生きていったのだろう・・平和のために立ち上がるところまで見届けたかったけれど、そのボールは我々視聴者に投げられたのかもしれません。

ドラマには出てこなかったけれど、理研仁科芳雄さんも陸軍からの命令で原爆の研究をしていました。戦後、この苦い経験から、学者の独立・平和的復興のための政策提言を行う日本学術会議が設立され、仁科さんは初代副会長になっています。そこには【戦争を目的とする研究は絶対行わない】という固い決意表明が。でもいま、この決意がなきものにされようとしている・・

いま、ネットやテレビでも「学術会議けしからん」という風潮が強くなっているように思います。「中国の千人計画に関与している」「役に立たない天下り団体」「退任後は終身年金を得ている」「欧米のアカデミー団体に税金は使われていない」等々のデマが流されています。推薦リストを勝手に書き換えた責任は問わないのに・・

政治の世界やテレビなどで「忖度」が横行しているので、学問の自由って最後の砦のように思えます。現状に苦言を呈する人達は、大学の先生だったりしますから・・。そして、好きなことを勉強していても「そんな下らないものは認めない」と禁止されたらどうなるのだろう・・数年前ですが、実際に大学の文学部廃止論も出たことがありました。

【大学の使命は真理の探求】【学問は人間の幸福と世界平和のためにあり、それを担う学生の命が戦争で奪われてはならない】(元立命館大学学長 末川博さん)

戦争経験者のこうした言葉をもう一度読み返して、それがどれほど大切なものかを考えてみてもいいのではないでしょうか。ひとつずつ色んな自由がなくなり、じわじわと外堀りを埋められて、気づいたら本当に何も言えない社会になっているかもしれないから・・。

NHKも、わざわざこのようなドラマを8月15日に放送するのなら、いま何が問題になっているのかをちゃんと伝えてくれることを願います。私も今回の騒動で初めて知ることがたくさんありました。

戦時下の時代を描いたドラマはたくさんあるけれど「昔、こんなにひどいことがあったんだね、でも頑張ったよね」と、現在とは関係のない話として扱ったり、感動的な物語にするだけではなく、これから私たちどうしていったらいいかな?と考えるきっかけにしたいなと思います。