今日のごはん日記

料理の記録や気ままな日記を書いてます😄

日の名残り

見たいと思っていた映画がテレビでやっていたので、小説より先に見てしまった…(^_^;)ゞ1993年だからずいぶん古い!
カズオ・イシグロさんの書いた、イギリスの執事が主人公の物語。映画らしいドラマチックな展開とか派手な場面は全然なく、じっくり見せる…私情をまったく出さず主人に仕える執事、スティーブンスをアンソニー・ホプキンスが演じています。撮影したのは「羊たちの沈黙」と同時期かな?あの恐ろしいレクター教授も、仕事に忠実な執事も演じられるってすごい…
淡々と仕事をこなす彼ですが、心がざわつくことは当然いろいろあります。でも、それを抑えて表現するからかえって苦しさが伝わってきて…。大切な来客の接待中にお父さんが亡くなっても、いつも通り仕事をする。
この映画でいちばん切なかったのは、女中頭ケントンとの恋。仕事ではきつい口調で議論しあったりするけど、ふたりとも、本当はお互いが想いあっているのはわかっていたのです。でも何も言わない…。
ふたりは何十年か後に再会しますが、それでもはっきりとは言わないんです。最後、「もう会うこともないわね」と挨拶し、暗い雨の中、握った手を放すところがこれ以上ないくらい切なかった…
大人になると、若い頃と違って思ったことを率直に言えないことが多くなります。だから、この映画を若い頃に見ていたら、これほど心に染みなかったかもしれません…。この切なさも、人生の味わいのひとつなのかな…って。 でも、仕事熱心なスティーブンスは魅力的だけど、彼女には「好き」って言ってほしかったなぁ…明らかに彼のせいで独り泣いているケントンを見ても、仕事の話をする始末…「言わぬが花」はカッコいいけど、この場合は言わなきゃダメでしょ…ついつい、ケントンの幸福を願うあまり(^_^;)
好きな人がいても、心に秘めて諦めてしまう「寅さん」「座頭市(いっつぁん)」のような悲哀を感じてしまった…よろしければ、名優・アンソニーホプキンスをぜひご覧になってみて下さい(^_^)