今日のごはん日記

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NHK特報首都圏「シリーズ がんを生きる① 働く世代」の感想

先週の金曜日(平成24年2月10日)、NHK特報首都圏「シリーズ がんを生きる① 働く世代」を観た。

 ついこの間まで、ガンは3人にひとりは罹ると聞いていたのだが、いつのまにか2人にひとりという確率になっていた・・・。そういえば身のまわりにガンを患っている人が必ずいる。私の親族にもたくさんいるし、職場でも。
早期発見できれば生存率も高くなるが、定期的な検査は一生続けなければならない。そのために、仕事を途中で抜けたり休みを取らざるを得なくなる。会社側からすると、このような働き方は迷惑なことのようで、本人が入院中にも拘わらず退職勧奨をしてきたり、次の社員を募集したりするらしい。

 確かに会社というのは利益の追及が目的の組織だから、そうした面から見れば、思い通りに働いてもらえない社員は迷惑なのかもしれない。でも、会社にはもう一つの存在理由がある。それは社員の生活を守るということだ。都合よく働けない人間を切るということを社会全体が行ったとしたら、自分の会社の商品やサービスを買う人も減ってしまうということだ。目先の利益に気を取られていると、大局的な視点に立つことができないのだろうか。オリンパス王子製紙のニュースを見てもわかるけれど、腐った企業のなんと多いことか。

  私事ではあるが、1年前から右胸にしこりがある。病院では良性と診断されていたが、先日の経過観察では形が変化しており、悪性の疑いありという所見が告げられた。先週会社を休み、このしこり(腫瘍)の摘出手術を受けた。これを詳しく検査してみないと、ガンかどうかはわからないということである。私の家系はガンで命を落とした者が多くいるので、自分もいつなってもおかしくないと思っているのだが、実際に、疑いありと聞いただけでもかなり狼狽えてしまった。しかも手術のあとの傷がずきずきと痛み、寝返りも打てないくらいに苦しい。こんなことで痛みを感じるくらいなのだから、抗がん剤の苦しみはどれほど凄まじいのだろうか。。。

ガンかもしれない、という宣告を受けただけで、目の前が真っ暗になる。自分はあとどれくらい生きられるのか・・・次々と不安が襲ってきた。このような不安が現実に目の前に突き付けられている人たちに、退職を迫るなどというのはあまりにも冷酷で薄情な行為である。会社を存続させることも大切だが、人間性を疑ってしまうのだ。

 私は長年、うつ病の家族がいたために看病を続けてきた。そのときも、職場の上司と会って病状を伝えたり今後の復職について相談したりということをしてきたのだが、やはり心配してくれる様子はあまりなく、『早く治せ』とか『復職したら今迄通り働いてくれないと困る』ということを散々言われたものである。結局、体制が整っていなかったこともあり退職を余儀なくされた。幸いなことに現在は落ち着いていて、以前の4割ほどではあるが仕事もできるようになっている(経済的にはとても苦しいのだけれど・・・)。うつ病についてはいろいろ思うこともあるので、また機会があれば書いていきたいと思う。

 話を元に戻すと・・・番組では、ガンを克服して通院しながら働いている人たちが冷たい仕打ちを受けつつも、少しずつではあるがサポート体制が生まれてきていることを紹介していた。夜10時まで放射線治療を受けられるようになった病院。仕事帰りにここを利用すれば、休まなくても良くなる。また、ガンになって仕方なく退職しようとしていた社員に対し、それを思いとどまらせる会社社長もいた。いずれも、自身や家族がガンの経験者で患者の状況をよく分かっている方々ばかりであった。

人間は、病気になってみないと病人の気持ちはなかなかわからないものだ。自分がピンピンと健康なのだから、それは無理のないことかもしれない。ただ、少なくとも想像すること、想像しようと試みることはできるはずである。わからないということを前提にしてもいい。だからこそ、『考えてみる』という意志が必要だ。番組でのコメントで見たのだが、ジャンケンをして負けたほうがガンになる。ガンは人を選ばない。という表現が心に残った。それくらい、誰もがなりうる病気なのである。他人事と思わず、ガンに限らないあらゆる病気の人たちが安心して生活できるような社会になってほしいと思う。