今日のごはん日記

料理の記録や気ままな日記を書いてます😄

ユナイテッド93

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今年は9.11から20年ということで、色々な特番が組まれていた。もうそんなに年月が経ったのか・・あの時の衝撃は忘れられない。

ユナイテッド93」という映画は、この日ハイジャックされた4機のうち目的に到達せず墜落したただ1機の飛行機で、その行く末を描いたものです。映画は機内の様子、数ヶ所の管制センターなど場面が入れ替わりながら進んで行き、交信記録やご遺族との電話のやり取りから、乗客が協力してテロリストに立ち向かい戦ったことが明らかになっています。最終的には操縦桿を奪い返すには至らなかったのですが・・

作品はドラマチックな演出やBGMもほとんどなく、ドキュメントのような作りになっています。こんなに非日常的な出来事が、自分も置かれている日常の延長で起こりうるのだと、思い知らされる。

連邦航空局のベン・スライニーはこの映画で本人役を務めたそうで、そのため専門用語も板についていて、一層緊迫感・リアリティーが感じられた。この人は緊急時でもリーダーシップを発揮していて、かっこよかった。しかし当日、軍の対応が後手後手で、ハイジャックが起きたのに管制センターから電話しても誰も出なくて、こんなに杜撰なのかと驚いた。しかしもっと驚いたのは、軍の上層部が93便のハイジャックを知ったのが、墜落して4分も経ってからだったということ(!)。ツインタワーも燃えていたのにどこ行ってた!?アメリカでさえこれなのだから、日本だったらもっと悲惨だったかもしれない・・しかしそもそも、ハイジャックってそんなに簡単にできるんだろうか・・?テロリストも武器を持ち込んでいたし…コックピットの扉もノックだけで開くもの!?と恐ろしくなりました。9.11後は変わっているのかもしれませんが・・

ところでユナイテッド93便は、離陸後30分近く経ってから事件が起きているのですが、テロリストたちはタイミングを見計らっていたというよりも、決断に迷いがあったように思えました。戦時中の特攻隊と同じで、崖っぷちに追い込まれたら決行してしまうのですが、ギリギリまでためらっていたような、映画ではそんな彼らの苦悩も感じられました。墜落直前、テロリストたちも「神よ私をお守り下さい」と祈ります。被害者から見れば「なにが神だ❗」と憎くなると思うのですが、この信仰心ゆえに道を誤ってしまったと思うと複雑な苦しみを覚えました。

9.11後戦争になり、膨大な数の犠牲者を出して20年、アフガニスタンは米軍撤退の後あっという間にタリバンに制圧されました。この20年はなんだったんだろう・・と空虚な気持ちに襲われます。

そんな中、現地で井戸を掘ったり用水路を作って、緑の大地を甦らせた中村哲さんの言葉が思い出されます。「テロリストといってもほとんどが元農民。彼らの願いは、家族と暮らし3度の食事を取れることだけなんです」ちゃんと仕事があって生活の基盤があれば、武装勢力の駒になんかなりたくないんですよ・・って。中村さんが亡くなったとき、当時のアフガニスタンでは国葬並みの扱いだったのに対し、無言の帰国をされた際には外務省の下っ端みたいな人が数人出迎えただけだった。日本政府は彼を評価などしていなくて、今後も国としての平和貢献はできないだろうと思わせる場面だった。

ぺシャワール会では中村さんの遺志を継いで活動を続けていますが、本当は国レベルでこのような平和構築を行なって欲しい・・9.11のような悲劇を繰り返さないためにも・・タリバンが息を吹き返して中村さんの肖像画も塗りつぶされた現在では、難しいかもしれないけれど・・

中村さんがよく語っていたという「一隅を照らす」という言葉、自分も心に留めてささやかでも光を発する人になりたいと思います。平和につながることを信じながら・・

20年後の顛末を知ってから見ると色々なことを考える映画でした。

(おわり)